大阪地方裁判所 昭和41年(わ)139号・昭40年(わ)4702号 判決
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〔判決理由〕(罪となるべき事実)
被告人は浜口憲次、小林菊松、鈴木均と共謀のうえ爆発物であるダイナマイトを使用して前記池田組事務所を襲撃爆破しようと企て、(同月一四日午前六時一〇分頃、小林において牛乳瓶に詰めたダイナマイトに雷管及び導火線を装置したもの一個および拳銃一丁を携帯し、鈴木において拳銃一丁を携行の上)、被告人の運転する乗用自動車に同乗して同市北区黒崎町三三番地孔雀荘アパート前を出発し人家の密集する右池田組事務所附近路上に至り、同日午前七時一〇分頃走行中の右自動車内において同組事務所を破壊し且つ居合わせた池田組々員を殺傷する目的で同所に投げ込むため、右小林がダイナマイトの導火線に点火を完了したが、被告人が同組事務所の位置を間違え同所から更に約一二四メートル西進して右自動車を停止させたため、慌てた小林が被告人に対し自動車の後退を命じているうち投擲の機会を失い同所で止むなく車外にダイナマイトを投げ出そうとして車外へ足を踏み出した瞬間これを爆発させ、もつて人の身体、財産を害しようとする目的で爆発物を使用した。
尚弁護人は、判示の事実につき実行に着手したといいうるには被告人らがダイナマイトの導火線に点火しただけでは足らずダイナマイトを目的物等に投擲する行為があつた事を要する旨主張するが、犯人の具体的目標とする人又は家を害する虞のある状況のもとに置くことが出来なくなつても、一般的に、犯人以外の人の身体若しくは財産を害する虞のある状況下において、爆発物に点火しこれを爆発しうべき状態に置いたときは、爆発物の使用罪の成立は免れないものと解するのが相当である(昭和四〇年一二月九日大阪高等裁判所第四刑事部判決参照)。本件において弁護人もダイナマイトが現実に爆発した地点が判示のとおり人家の密集する場所であり同所附近には数人がバス又は市電待ちしており客観的に犯人以外の人の身体若しくは財産を害する虞のある状況が存在した事実自体は争つていないからこれらの事情も合せ考慮すれば弁護人の右主張は採用し得ない。(石原武夫 森岡茂 田中宏)